浦和地方裁判所 昭和54年(ワ)495号 判決 1980年7月16日
原告 船場奈々子
原告 中央ラジオ・テレビ健康保険組合
右代表者理事長 河野義徳
右両名訴訟代理人弁護士 藤本時義
小野瀬有
被告 浦和市
右代表者市長 中川健吉
右訴訟代理人弁護士 柴山真一郎
主文
一 被告は、原告船場奈々子に対して、金一〇四万一三〇円及び内金九四万一三〇円に対する昭和五二年五月二二日から、内金一〇万円に対する本判決確定の日から各完済までの年五分の金銭の支払をせよ。
二 被告は、原告中央ラジオ・テレビ健康保険組合に対して、金一八万七二三〇円及び内金一六万七二三〇円に対する昭和五三年九月三〇日から、内金二万円に対する本判決確定の日から各完済までの年五分の金銭の支払をせよ。
三 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
四 訴訟費用は、被告の負担とする。
五 この判決の第一、二項は、仮に執行することができる。
事実
第一当事者の求める裁判
一 原告ら(以下、原告らを個々に指すときは「原告船場」もしくは「原告組合」という。)
1 被告は、原告船場に対して、金一三五万六一三〇円及びこれに対する昭和五二年五月二二日から完済までの年五分の金銭の支払をせよ。
2 被告は、原告組合に対して、金二一万七二三〇円及びこれに対する昭和五三年九月三〇日から完済までの年五分の金銭の支払をせよ。
3 訴訟費用は、被告の負担とする。
4 仮執行宣言
二 被告
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は、原告らの負担とする。
第二原告らの請求原因
一 事故の発生
原告船場(当時は菊地姓)は、次の事故によって傷害を受けた。
1 日時 昭和五二年五月二一日午後三時三〇分ころ
2 場所 浦和市元町九三番地一、浦和市総合運動場内の西北端にあるテニスコート(以下「本件コート」という。)
3 態様 原告船場が本件コートの西縁に設置されている万年塀(以下「本件塀」という。)の直前に置かれたベンチに座ってテニスを見ていたところ、たまたま本件コートからその西側民有地に飛びこんだボールを本件塀を乗り越えて取りに行った安間弘志が、本件コートに戻るため、本件塀に手を掛けてコート内に飛び降りた際、その震動によって本件塀の最上段にあるコンクリート製笠木(長さ一八〇センチメートル、幅一三・六センチメートル、高さ七・三センチメートル)三本が落下し、その一本が原告船場に当った。
二 傷害の程度
原告船場は、本件事故によって、頭部打撲、頸部捻挫、腰部打撲、第七頸椎棘突起骨折、頭部外傷の傷害を受け、そのため、事故当日から六日間浦和市の博仁会共済病院に入院し、さらに、昭和五二年五月末から昭和五三年九月までの間二八回にわたり、東京都新宿区の国立医療センターに通院して治療を受けたが、現在なお脳波障害の後遺症を有する。
三 被告の責任
1 本件塀は、被告が設置、管理している営造物である。
2 本件塀は、その製造された時期が不明であるが、相当老朽化していた。そして、もともと本件塀には、塀の本体と笠木との間に両者を通貫する鉄筋その他のものが組みこまれてなく、単に、笠木の下部のわずかな幅がモルタルによって塀の本体に接着され、両端もモルタルで他の笠木に接着されていた程度で、それ以上に笠木を固定させる方策は講じられていなかった。しかも、事故当時、本件塀は、その老朽化と隣地の土圧のために、コート側に向って傾斜しており、笠木と塀本体との間に剥離が生じていたため、笠木が落下しやすい状態にあった。しかるに、被告は、これを防止すべき何らの措置もとらないばかりか、かえって、昭和五二年三月、本件塀の傾斜を補強するために、これに接して高さ約七〇センチメートル、厚さ約二五センチメートルの擁壁を設け、その直近にベンチを設置したので、本件塀を登り降りする格好の足場を作ったのである。
3 したがって、被告の本件塀の設置及び管理には重大な瑕疵があり、そのため本件事故が発生したものであるから、被告は、本件事故によって受けた原告船場の損害を賠償する責任がある。
四 原告らの損害
1 原告船場
(一) 逸失利益 金五万一八一〇円
原告船場は、当時、株式会社文化放送開発センターに勤務していたが、昭和五二年五月二三日から同年七月四日まで欠勤した。それによる給与及び賞与の減額分。
(二) 治療費 金三五六〇円
内訳(イ)博仁会共済病院初診料 二〇〇円
(ロ)同入院一部負担金 三六〇円
(ハ)同室料差額 一八〇〇円
(ニ)同診断書料 一〇〇〇円
(ホ)国立医療センター初診料 二〇〇円
(三) 入院雑費 金三〇〇〇円
(四) 付添費 金二万二八〇〇円
内訳(イ)付添人費用 一万六八〇〇円
二八〇〇円×六日
(ロ)付添フトン代 六〇〇〇円
(五) 通勤交通費 金一万六〇〇〇円
脳波に異常があるため、昭和五二年七月五日から同年八月中旬までの間二〇回にわたり、出退勤時に新宿駅から勤務先(新宿区市ヶ谷河田町)まで利用したタクシー代。
(六) 通院交通費 金四万二九六〇円
内訳(イ)昭和五二年七月から昭和五三年二月までの間一八回にわたり勤務先から国立医療センターに通院した往復のタクシー代。
八〇〇円×二×一八回 二万八八〇〇円
(ロ)勤務先退社後昭和五三年三月から同年九月までの間六回にわたり、住居の最寄駅である富士見台駅から電車で高田馬場を経て、タクシーで国立医療センターに通院した往復の電車代及びタクシー代の合計。
(四八〇円+七〇〇円)×二×六回 一万四一六〇円
(七) 入通院慰藉料 金五五万円
但し、入院六日間・通院一六ヶ月分
(八) 後遺症慰藉料 金五六万円
原告船場は、前記傷害によって、脳波に棘波が残存し、今後いつ発作が発生するか知れない不安定な状態にあり、しかも、棘突起骨折は治癒不可能のまま固定しているので、その後遺症は、少なくとも後遺障害別等級表の第一四級に相応する。
(九) 弁護士費用 金一〇万円
以上合計 金一三五万六一三〇円
2 原告組合
(1) 原告組合は、昭和五三年九月までに、同船場の治療費として金一六万七二三〇円の保険給付を行ない、被告に同金額を請求する権利を取得した。
(2) 弁護士費用 金五万円
五 よって、被告に対して、原告船場は金一三五万六一三〇円及びこれに対する本件事故発生の翌日である昭和五二年五月二二日から、同組合は金二一万七二三〇円及びこれに対する本件事故発生の後である昭和五三年九月三〇日から各完済まで年五分の金銭の支払を求める。
六 なお、被告主張の原告船場の過失については争う。
第三被告の答弁
一 請求原因第一項は、3のうち落下した笠木の本数を除いて認める。
二 同第二項は知らない。
三 同第三項の1は認めるが、2は争う。
四 同第四、五項は知らない。
五 本件塀の設置及び管理
1 本件塀は、鉄筋コンクリート組立のものであり、そのうち、落下した笠木が最上段にあった部分は、原告ら主張のようには傾いてはいなかった。
2 本件塀は、構造上強化されたものであり、通常人が押したぐらいでは動かないし、また、最上段にあった笠木は、溝によって固定されており、笠木と笠木の継ぎ目も、カギ型によってつながっているので、通常人の力によっては動かない。
3 原告らは、本件塀の傾斜を補強するために擁壁が設けられていたと主張する。
右擁壁は、隣地の土圧で内側に傾くことを防止するために設けてはあったが、安間が登ったために笠木が落ちた地点には存在していなかった。安間が登った地点の本件塀は、土圧で傾いていなかったので、補強の必要がなかったからである。
4 また、原告らは本件塀の前にベンチを置いた点について問題としているが、本件コート内にベンチを置くことは、テニスコートの路面保存上、コートを傷つけるので、禁止しており、通常は、テニスコートの周囲にめぐらしてあるフェンスの外側に置いている。事故当時本件塀の脇にベンチはあったが、これは、当時原告船場らプレーヤーが本件コート内に運びこんだもので、公園管理者が設置したものではないのである。
5 以上の次第であるから、本件塀の設置及び管理については瑕疵がない。
六 相当因果関係
1 本件コート内でプレーしているプレーヤーが本件塀の西側隣地に、ボールを打ちこむことは、稀なことである。
たまたまボールを隣地に打ちこんだ際には、すべての場合、本件塀を登ることなどはなく、本件コートの外へ出て、隣地へボールを取りに行っていた。
従って、被告としては、高さ約二メートル二五センチの本件塀をよじ登って、隣地へボールを取りに行くことなど予想できなかった。
2 特に、本件塀は、通常の体格を有する者が、よじ登ったとしても、ビクともせず、笠木が落ちることなども予想できないよう構造上強化されていた。
3 しかるに、安間は、身長約一八〇センチメートル、体重約八〇キロの大男であった。被告としては、安間のような大男が、本件塀によじ登ってテニスボールを取りに行くことなどは全然予想しなかった。
ちなみに、社会一般に存在しているあらゆる万年塀について、安間の如き大男がよじ登ったりすれば、全て笠木は落下するであろう。
従って、安間は、自らよじ登れば笠木が崩れ落ちることの危険を予知してよじ登ったもので、故意ないし重大な過失がある。
4 よって、本件事故は、安間の故意ないし重大な過失によって笠木が落下したのであるから、右瑕疵と本件事故発生との間には、いわゆる相当因果関係はない。
七 共同不法行為
本件塀の設置及び管理について瑕疵があったとしても、本件事故は、前項3で主張したとおり、安間の故意ないし重大な過失によって発生したものであり、被告の瑕疵と安間の故意ないし重大な過失とが競合して発生したものであるから、共同不法行為である。
八 過失相殺
仮に、本件事故について被告に責任があるとしても、原告船場にも次のような過失があるので、その損害額について過失相殺されるべきである。
1 原告船場は、事故当日、本件コートヘテニスのプレーに来ていた。
テニスのプレーヤーは、プレーを続けている時はもちろん、プレーを見ているにしても、ボールの行方を注視している義務がある。
特に、原告船場は、安間と同伴プレーヤーであったから、プレー中のプレーヤーが本件コート外にボールを打ちこみ、安間がボールを隣地に取りに行ったのであれば、安間がボールを拾って戻ることは予想されるのであるから、安間の動静には十分注意を払うべき義務があった。
それにもかかわらず、原告船場が、安間の戻ってくると予測される本件塀の前にあるベンチに漫然と座っていたことは、プレーヤーとしての初歩的義務を怠っていたものであるから、過失がある。
2 また、そうでないとしても、本件コートでは、コートの整備保存上コート内には、ベンチを設置してはいなかった。すなわち、ベンチは、コートにめぐらしてあるフェンスの外側に置いて、コート内持ちこみを禁止していたのである。
しかるに、原告船場らプレーヤーは、フェンス外からコート内の本件塀の近くにベンチを移動して、事故当時これを使用していたから、移動ないし設置を禁止していたベンチに座っていたことは、原告船場の過失である。
第四証拠《省略》
理由
一 事故の発生及び傷害の程度
原告ら主張の事故の発生(請求原因第一項)については、落下した笠木の本数を除いて、当事者間に争いがなく、《証拠省略》によると、本件塀から落下した笠木は三本であって、その一本が原告船場の頭部及び腰部にあたったことが認められる。
次に、《証拠省略》を総合すると、原告船場は、本件事故による打撃のために、頭部打撲、頸椎捻挫、腰部打撲、第七頸椎棘突起骨折、頭部外傷の傷害を受け、事故当日から昭和五二年五月二六日まで六日間浦和市の博仁会共済病院に入院した後、同月末から昭和五三年九月までの間二八回にわたり、東京都新宿区の国立医療センターに通院して治療を受けたこと、この間、昭和五二年七月五日から職場(株式会社文化放送開発センター)に復帰し、昭和五三年二月末日結婚のため退職し、その後一児をもうけて主婦生活を続けているが、現在なお、脳波障害の後遺症があることが認められる。
右各認定を左右するに足りる証拠はない。
二 被告の責任
本件塀が被告の設置、管理している営造物であることは、当事者間に争いがない。
そして、《証拠省略》をあわせると、本件コートと西側民有地との境界に設置された本件塀は、昭和四三年以前に建設されたものであるが、本件事故現場付近から南側の部分がややコート側に傾斜していて、そのため地面から高さ約六〇センチメートルの部分が幅約二七センチメートルのコンクリート擁壁によって補強されていること、一方、本件塀の最上部に設置されたいた笠木は、塀本体と接する部分が平らで埋込み溝等はなく、塀本体と笠木を固着するための鉄筋も埋めこまれておらず、単にモルタルによって塀本体と接着されていたにすぎず、また、笠木と笠木間の接着も同様であったこと(なお、検証時においても、本件事故現場の部分とは異なるが、笠木と塀本体との接着に使われていたモルタルが剥離し、その間にすきまができているものがあった。)、また、本件事故の発生に際しては、安間が笠木に手を掛けて飛び降りたことによって生じた外力以外には、本件塀の笠木に対して何らの外力も加わっていなかったことが認められる。
そうだとすると、本件事故当時の本件塀は、笠木と塀本体との接着関係が必ずしも安定した状態にあったとはいえないから、もし、本件塀について、相当重量のある成人が度々これを乗り越えるという事態が生ずるならば、いつかは笠木が塀本体から離脱して落下する可能性が多分にあったものと推認することができる。現に、《証拠省略》によると、本件事故の際落下した笠木三本のうち二本(原告船場に当った一本がこれに含まれる。)は、本件事故の約二か月前の昭和五二年三月当時、従前の笠木が塀本体から剥離して落下していたため、新たに設置したものであることが認められる(その二本がわずか二か月後に落下している事実からみて、その設置工事ないし接着方法が杜撰なものであったことは、容易に推測できるところである)。
次に、《証拠省略》によると、本件コートの西側サイドラインと本件塀との距離は約四メートル程度であり、しかも、本件塀の高さが約二・三メートルしかないため、プレー中のボールが本件塀を越えて西側民有地に飛びこむことが従来からしばしばあったこと、そして、本件コートの出入口は東南隅に一か所しかなく、そこを通って西側民有地にボールを取りに行くことは、かなりの遠廻りになることから、本件コートの一般使用者や見物人がたびたび本件塀を乗り越えてボールを取りに行っており、このことは、浦和市総合運動場に常駐している被告職員も何度か現認していた事実であることが認められる。
そうすると、本件塀、ひいては本件コートを管理する被告としては、本件コートの使用者等が本件塀を乗り越えて西側民有地にボールを取りに行き戻りすることがあることは十分予測ないし認識していたものというべきである。
ところで、前記認定のとおり、本件塀の笠木は、落下する可能性が多分にあったのであるから、被告としては、本件コートの一般使用者等が塀を乗り越えたり、笠木に手を掛けて飛び降りたりする等の外力を加えれば笠木が落下する危険のあることは、容易に予見できたにもかかわらず、《証拠省略》によると、本件コートの管理担当者たる被告職員らは、右のような危険を予想したことがなく、たまたま、附近で本件塀を乗り越える者を目撃したときは、これに注意を与える程度のことはあっても、一般的に、乗り越えを禁止する旨を周知させる方法をとった事実は全くなく、他面、本件塀の笠木の接着状態を定期的に点検していた事実もなかったことが認められるから、結局、被告としては、本件塀に関して、笠木の落下を防止すべき何らの措置をも講じていなかったといわざるをえない。
したがって、本件塀に対する被告の設置、管理には明白な瑕疵があり、この瑕疵によって本件事故が発生したというべきであるから、被告は、本件事故によって受けた原告船場の損害を賠償する責任がある。
被告は、本件事故が安間の故意ないし重大な過失によって発生した旨主張するが、安間に責任があることは、本件における被告の責任を減免すべき何らの理由にならないから、右主張は、それ自体失当である。
三 原告らの損害
1 原告船場
(一) 《証拠省略》によると、原告船場は、本件事故によって、原告らの主張するとおりの次の損害、すなわち、逸失利益として五万一八一〇円、治療費として三五六〇円、入院雑費として三〇〇〇円、付添費として二万二八〇〇円、通勤交通費として一万六〇〇〇円及び通院交通費として四万二九六〇円(合計一四万一三〇円)を被ったことが認められ、その反証はない。
(二) 慰藉料
先に認定した原告船場の傷害の程度に本件諸般の事情を斟酌すると、同原告の入通院及び後遺症に対する慰藉料は、八〇万円をもって相当とする。
(三) 弁護士費用
(一)、(二)の合計額の約一割一〇万円をもって相当とする。
以上合計一〇四万一三〇円
2 原告組合
(一) 《証拠省略》によると、原告組合は、本件事故によって同船場の受けた傷害の治療費について、同原告に代って、昭和五三年九月末日までに一六万七二三〇円を診療機関に支払ったことが認められ、その反証はないから、これによって、原告組合は、同船場が被告に対して有する右金銭と同額の損害賠償請求権を取得したものというべきである。
(二) 弁護士費用
(一)の金額の約一割二万円をもって相当とする。
以上合計一八万七二三〇円
四 過失相殺
まず、被告は、原告船場には、ボールの行方を注視し、特に、安間がボールを取りにいって戻ってくるまでその動静を注意すべき義務がある旨主張するが、テニスコートにおいてテニスをする者あるいはこれを見ている者が専らコートにおけるプレーに注目していることは当然の事柄であって、コート外に出たボールやそれを拾いに行った者の動静にまで注意を払うべき義務があるとは、到底考えられないから、そのような義務を前提とする被告の主張は採用できない。
次に、コート内に持ちこみ禁止のベンチに座っていたことを原告船場の過失として主張するが、仮に、被告において、ベンチをコート内に持ちこむことを禁止していたとしても、《証拠省略》によると、原告船場は、事故当日の午後、はじめて本件コートに来たものであるところ、すでに本件塀の直前にはコート向きにベンチが置かれていたので、自分がプレーをしていた時間は除いて、友人とともにそのベンチに座ってプレーを見ていたこと、しかも、本件コート附近にはベンチのコート内持ちこみを禁ずる旨の掲示等は一切なく、被告の担当職員が原告船場らのベンチ着席をとがめた事実もなかったことが認められるから、同原告のベンチ着席をもってその過失といえないことはいうまでもない。
したがって、被告の過失相殺の主張は、いずれも理由がない。
五 以上のとおりであって、原告らの請求は、同船場が一〇四万一三〇円及び内金九四万一三〇円に対する昭和五二年五月二二日(本件事故の翌日)から、内金一〇万円(弁護士費用の損害分)に対する本判決確定の日から各完済まで、同組合が一八万七二三〇円及び内金一六万七二三〇円に対する昭和五三年九月三〇日(保険給付の後)から、内金二万円(弁護士費用の損害分)に対する本判決確定の日から各完済までそれぞれ年五分の遅延損害金の支払を求める限度において正当であるからこれを認容し、その余は失当であるから棄却することとし、訴訟費用について民事訴訟法九二条、仮執行について同法一九六条一項を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 橋本攻 裁判官 一宮なほみ 並木正男)